メニューを飛ばしてコンテンツへ第62回日本病跡学会総会 The 62nd Annual Meeting of Japanese Association of Pathography当学会サイトへ
会場:立教大学 新座キャンパス

ご挨拶

このたび、立教大学現代心理学部映像身体学科との共催で,第62回日本病跡学会総会を平成27年6月27日(土)~28日(日)、同大学新座キャンパスにて開催します。病跡学とは、精神医学の基礎学問である精神病理学の応用分野であり、傑出した人物の創造過程と精神病理とのあわい目を浮上させることを目指す学問です。精神医学は医学の一分野とはいえ、その対象疾患の独自性から時代や文化の変化を反映しやすく、現在、臨床と研究の双方で岐路に立たされています。このような局面においては、その本体よりもむしろその辺縁に位置する病跡学のような分野が変革への触媒として働く可能性があります。

総会テーマとして「病跡学の拡張 ―映像と身体に向けて」を掲げましたが、これはまさしく、開催される場所に因んだものでもあります。メインシンポジウム「ポスト ヒューマンの病跡学」に加えて、特別企画「強度イメージ ―デイヴィッド・リンチ解剖」を組み入れました。われわれが生き抜いてきた時代は、まさに「映画の世紀」と言ってよいほど、数々の名作に彩られています。わけても、リンチ監督の映像表現はその強度性において際立っており、我々の身体感覚を根底から揺さぶりました。新座キャンパスは、映画館に匹敵する機材を備えた「ロフト」があり、こういう企画にはうってつけです。

そのほか、2つのランチョンセミナーに加えて、会長講演「チャールズ・サンダース・パース ―科学と宗教とのあいだで」も準備中です。もとより、学会の生命は、こういう企画物以上に、一般演題の充実のほうにかかっていると言えます。本学会の最大の特徴は、各演者がみずから長年傾倒してきた特定の創造者について、愛情をこめて熱弁をふるうところでしょう。なお、大会イメージとして、医師であり画家でもある小山右人の作品「ヴォレ ピーターパン」を掲げました。われわれ2人に共有された少年時代のヒーローであり、私からの依頼で、彼が本学会のために制作してくれた作品であります。

第62回総会会長 花村誠一